【おすすめの小説】わしらは怪しい探検隊 椎名誠

椎名隊長率いる探検隊!離島で、野営に大宴会、そして蚊の大群との死闘や大水泳大会。愛すべきお馬鹿さんたちの痛快記録。

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あらすじ

離島でのきつい天幕生活に挑む会「東日本何でもケトばす会」の、結成当時の行状記。椎名隊長ほか隊員たちの個性が光る。前代未聞の面白さ!

酒と食料の大移動、テント張り、かまど設置、ゴミの穴ほり、蚊の大襲来等々、夜明けとともに雑用と自然との戦いが始まり、美しい夕焼け空が疲れきった一日の終わりを告げるー。

海と冒険と仲間、椎名文学の三大要素がたのしめる「怪しい探検隊」ものの、記念すべき第一書。(角川文庫「わしらは怪しい探検隊」背表紙より)

 

野宿に、焚き火に、大宴会。

椎名氏の自伝的探検小説の一番の魅力を詰め込んだ本作。

天幕に、テント、寝袋をもって、旅に出たくなるー。

そんな作品です。

 

結婚する前の椎名氏をはじめ、ほかの作品にも登場する「東日本何でもケトばす会」、通称東ケト会の愉快な仲間たち。

 

彼ら東ケト会は本作では離れ島探検隊として登場します。舞台は、三重県沖にある神島。

ちなみに、探検隊と名付けたことについて

「特急に乗り、船に乗り、その島の人々とまじりあい、天幕の中で寝るのだから『探検隊』というのにはいささか大袈裟にすぎるのだが、・・・ここはやはり誰に文句を言われるということもないようなので、一応まあ『探検隊』というふうにいってもいいのではないか、・・・我々の集団については心情的に『探検隊的である』というふうにとらまえてくれるのではないかーという観測があるのだ」

と、ぼそぼそと言い訳しながら語ってくれています。

そんなわけで、何かとにかく探検隊なのです。

椎名氏のこの旅は、キャンプというよりは、野宿や野営といった野趣に溢れたもので、そこが男達の憧れを誘います。

 

一押しのポイント

わいわいがやがや愉快な仲間たちと美味い飯を喰い、これまた美味い酒を飲む。

このさまに、何とも心惹かれます。

 

探検隊の炊事班長である沢野氏が作れるのは、基本的には以下の3つです。

  1. カレーライス
  2. ぶた汁
  3. けんちん汁

ただ、ぶた汁やけんちん汁もうまいのだけれども、野営で登用される食材事情において、「全体のランクからいえばどうしてもC級というイメージを拭いきれない」とのことなのです。

そして、彼らにとって、カレーライスというのは、食材に何を入れても定番の料理でうまいのだけれども、多くとも3日に一食で十分。

そんな炊事班長の料理ですが、条件が揃えば可能な料理がもう一つあります。

それが、ちゃんこ鍋。海で魚や貝を釣り上げることができれば、鍋にいれて、ちゃんぽん鍋にすることができるのです。

 

これを探検隊のメンバーは楽しみにしているため、釣り部隊が手ぶらで帰ってきたときの、残念がる大人の男たちの姿には、どことなく可愛さと可哀想さを同時に感じさせます。

 

とはいえ、自分たちでかまどから作った料理とともに飲むビールは、美味そうですね。

途中からは焼酎やウイスキーに酒が変わり、いつも通りの大宴会に。

ウスターソースの瓶をマイク代わりに歌い狂う姿には、笑みが溢れます。

 

愛すべきしょうもない大人たち。

予想外の展開や息つけない展開などはないですが、そうです、こういうのがいいんです。実にいい。

 

そして、こうした野営の傍らに、いつも存在する道具たち。

これも男心をくすぐります。

 

例えば、ナイフ。

キャンプでは肉や魚を捌いたり、薪を削ったりと何かと必要になるものですが、同時にロマン溢れるこだわりの道具でもあるのですよね。

こんなのが個人的にはそそられます。

 

そして、木の蓋をもつ鉄鍋なんかも登場しますね。こういったこだわりの道具を使いこんでキズや傷みを蓄えていくと味がでてきます。

 

人間も道具も、年月を経たことで得られる渋さやかっこよさがありますよね。

そして齢を重ねても変わらない良さもあります。

椎名氏の小説からは、素敵な時間の経過を感じ取ることができますね。

 

最後に

いかがでしたか?

本作を読んでいると、気の置けない仲間と、お酒を飲んで美味いご飯を食べて、そんなことが無性にしたくなるのです。

すぐさまキャンプグッズを車に載せて、旅に出かけてみませんか?